情報の操作 メディアはすごい
メディアの凄さについて
2015年11月22日第32回マイルチャンピオンSの優勝馬を覚えていますか。同レースに、イスラボニータやロゴタイプ、サトノアラジンなどが出走していました。
現在、産駒も活躍中のあのマイルスペシャリストでありながら、強メンツの秋天を制覇し、2015年の年度代表馬になった『モーリス』であります。
2015年の安田記念を、4連勝で勝利し、5ヶ月の休養明けでマイルチャンピオンに臨んだモーリスは、単勝オッズ5.7倍の4番人気に支持されていました。鞍上はムーア騎手でこれまた人気してもおかしくない状況であるにもかかわらず、4番人気だった理由は、メディアだと言われています。
「放牧に出した理由が疲れによるもの」と報道されて、馬券購入者の不安を煽った故の人気と考えられます。
もちろん、モーリスの人気が最適な人気で、単勝オッズ5.7倍が適するオッズであるという仮説もありますが、前走の安田記念のオッズと比べて、人気してないことは明らかです。つまり、このオッズが最適かどうかはわからないですが、(第2回参照)2015年の安田記念と、2015年のマイルチャンピオンSの両方を買った馬券購入者は一貫性が取れていないことは事実です。
競馬のオッズは基本的にその数値に妥当性があるのですが、これは、全馬券購入者が理想の状態であるという理由からです。
例えば、メディアにより持ち上げられた一つの情報を多くの馬券購入者が信じた場合や、たった一人の馬券購入者が多額の投資金をたった一頭の馬にかけた場合など、通常のオッズと同じようにそのオッズを考えられない場合があります。
つまり、一つの予想に偏っている状況になっている場合は、オッズ仮説が通じないということです。
この議論の面白いところは、その馬のオッズがその馬の期待値に合うかどうかの議論が必要ないところです。
また、100円でモーリスを選んだAの予想と、100万円でモーリスを選んだBの予想では、オッズへの影響はBが強いですが、どちらもその馬の着内期待値には違いはありません。
難しい言い方をしましたが、
『大金を賭けた予想も、他の予想と同じく、1つの予想と変わらない』ということです。それでいて、オッズの影響は大きいということになります。
また、第2回で解説した通り、私たち予想家の努力が報われるのは、このようなオッズが作り出されるときであります。メディアの情報がオッズにどれだけ影響を与えるのかは、データをもとに示さなければ、ここまでの話は説得力のあるものではありません。今回は方法論の話ではないので、またの機会に。
まとめ
(1)メディアの報道はオッズに影響する。
(2)予想の価値は、賭けた金額に関係しない。