不的中の可能性 破産は自己責任
不的中の可能性を考えるのは、負け組か?
「レースが始まる前から、外れること考えてたら、当たるもんも当たらないよ。」や、「当たったやつがえらい。」おじいちゃんに言われたことありませんか。これは間違っています。ギャンブルをする上で、リスクの認識と理解、そして管理は必要な能力です。リスクを知ることが、勝ち組になるための第一歩です。
競馬におけるリスクとは何だと思いますか?
リスクとは、不的中時の投資金の損失です。
本講座では、不的中時のみとさせていただきます。(ちなみに、的中時の投資金の損失とは、トリガミのことです。第4回参照)
このリスクについて、馬券購入者はどれだけ認識し、理解をしているのでしょうか。今回はこのリスクについて、議論を進めましょう。
リスクの認識と理解
リスクとは、不的中。不的中する可能性について、我々はどれだけ向き合えているでしょうか。本当に向き合うことで、認識し、理解したことになります。
これから、最も大切なことを話します。あなたが的中させたその馬券。当たれば正義の考え方はもう古いです。
【的中した馬券の全てが本当に正しいのでしょうか。】
【不的中した馬券が全て間違っているのでしょうか。】
この二つにイエスと解答する、受講生は結果論で、競馬を見ているのです。両方とも答えはノーです。
では、どんな不的中馬券が正解で、どんな的中馬券が不正解なのか。これを紐解くのが、リスク理解を通したリスクヘッジになります。(※リスクヘッジとは、危険を予測し、それを避けるように対策を図ること。本来、リスクとは予想通りにいかない可能性という意味を含みます。)
リスクを取るには、それに見合ったリターンを考えなければいけません。オッズの吟味がリスク理解には必要不可欠です。つまり、オッズの変動により、リスクが高まったり、低くなったりするのです。
『復習』これから解説することも、皆さんはわかっていますが、競馬に熱くなると分からなくなる傾向にありますので、復習しておきましょう。
・オッズの数値が低くなる→配当が減るので、リスクが高まる。
・オッズの数値が高くなる→配当が増えるので、リスクが減る
この二つが、まず押さえておくべきオッズを通したリスク理解です。
ここまで、リスクの理解について話をしてきました。では、将来的なリスク(損失の可能性)を計量することはできるのでしょうか。私自身、数年間競馬のリスクというものと向き合い、計量することに挑戦してきました。しかし、リスクというのは主観的で見えにくく、定量化できないという特徴があり、過去の例についても推測することしかできないものだと気づきました。
そこで、リスクが定量化されたものが、オッズだと仮説を立てることにしました。このように考えると、あらゆるリスクは、オッズによって定義づけられると主張できます。
競馬予想の不確実性とリスク
第三回で、競馬は強い馬が必ず勝つわけではないということを話をしました。私たちは、未来について知ろうとしますが、知ることは不可能であり、リスクが付き纏うことを理解してください。先見の明があり、将来起こりうる展開を限定し、その中で相対的にどんな状況が起こりやすいか、といった確率分布をつくったとしましょう。(筆者は実際にやりました)または、予想する上で、直感が働き、どのような展開が起こりやすそうか、他にどんな展開が起きるか、起こりうる結果は何があるのかに見当をつけて、「予想される結果」を導き出すでしょう。これらのデータはもっともらしい競馬の結果の様子を語ることになります。
しかし、確率分布の形状をみたり、その予想がものすごく妥当で、説得力があるものだったとしても、あくまでも、可能性や傾向を知るだけにすぎないのです。確率と結果の間には大きな違いがあるのです。いつだって、起きそうなことはおきないし、起きなさそうなことが平気で起きる世界です。
現代競馬は数学をもとに、どれだけ不確実なものかを示すことができます。また、ここまでの議論で、どれだけの素晴らしい予想も、低オッズによって否定することができると主張します。
不的中の可能性
不的中の可能性は、未来にのみ存在しています。レースが終わった過去に曖昧さはありません。(決着がついている)ただ一着から三着までの結果がでたという事実があるだけです。しかし、その事実はその結果を生み出した過程が明確で、信頼できる予想であったことを意味するのではありません。過去のあらゆる展開で起こりえたことはたくさんあったはずです。また、一度当たったことがある買い方をこれからもし続けて良い保証はありませんし、一度外れた買い方がこれからの未来のレースでもはずれるとも限りません。それでも、馬券購入者は一つの事しか起こらなかったために、さまざまなことが起こりえたことを見失いがちなのです。この見失うことこそ、破産と破滅を引き起こします。リスク理解を通して、結果として起こらなかったことに向き合うことで、破産や破滅を防ぐことができます。
まとめ
(1)当たれば正義ではない。
(2)目に見える唯一のリスクはオッズである。
(3)どんな素晴らしい予想もオッズには勝てない。
(4)起こらなかったことに向き合うことで破産と破滅を防ぐことができる。